夏が終わってもヴァージンは終わらない
真夜中の浜辺を歩いていました。一人で。
海の水は真っ黒で、静かな砂の丘の向こうで波打つ様は、遠くから見ると異様なものに見えました。
波打ち際まで行くと、黒い水が泡を立てながら足元まで広がり、果てのない海へ帰って行きます。
踏み出せば戻ってこれない世界を目の前に、私は考えてました。
誰もいなくて一人きりなのは寂しい。
大勢の人がいるのに、誰とも関われないのは寂しい。
そして、一度関わっただけで、人間同士繋がれないのは寂しいことだと考えました。
この時に、私は自分が何を求めているか、少しわかったような気がしたのです。
結局求めるものを得られないどころか何もないまま、今年も暑い季節が終わりました。私はまた一つ、歳だけを取って行くのです。